2020年6月1日施行 改正労働施策総合推進法
ヒトゴトではない“パワハラ防止法”

織田労務コンサルティング事務所
代表・特定社会保険労務士 
織田 純代

2020/06/09

職場のいじめ・嫌がらせに関する都道府県労働局への相談は、82,000件超(平成30年度)で、7年連続で全ての相談の中でトップとなっています。

この対策のため2020年6月1日に改正労働施策総合推進法が施行され、職場におけるパワーハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となりました。(中小企業は、現在は努力義務、2022年4月1日から義務化。)

職場におけるパワーハラスメントとは、職場において行われる

① 優越的な関係を背景とした言動であって、

② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

③ 労働者の就業環境が害されるものであり、

①~③までの要素を全て満たすものをいいます。

なお、この場合の「職場」とは、通常就業している場所以外の場所であっても、業務を遂行する場所については「職場」に含むとされています。

事業主は、職場におけるパワーハラスメントを防止するため、以下の措置を必ず講じなければならないことになりました。

(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
① 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発すること

② 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること

(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること

④ 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること

(3) 職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること

⑥ 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと(注1)

⑦ 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと(注1)

⑧ 再発防止に向けた措置を講ずること(注2)

(注1)事実確認ができた場合
(注2)事実確認ができなかった場合も同様

(4)そのほか併せて講ずべき措置
⑨ 相談者・行為者等のプライバシー(注3)を保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること

⑩ 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

(注3)性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報も含む

職場におけるハラスメントは、パワーハラスメントの他に、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントなどもあり、パワーハラスメントと同時に起きることも少なくありません。上記の措置も、パワーハラスメントだけでなく、その他のハラスメントも含めた内容にすることで、より効果的になるでしょう。

対象も自社の従業員だけに限るのではなく、取引先等の従業員、就職活動中の学生等、インターンシップ中の学生、フリーランスなど、周囲の人に対しても同様の配慮をすることが、自社の従業員にとっても安心して働ける職場に繋がると思います。

出典
「2020年(令和2年)6月1日から、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!(都道府県労働局 雇用環境・均等部)」
「平成30年度個別労働紛争解決制度の施行状況(厚生労働省)」

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