シリーズ暗号資産③
暗号資産を絡めた「節税商品」が大流行の兆し その効果とリスクを検証

ライター 高橋秀和

2020/06/29

注目の「マイニング節税」 効果とリスクは?

近年、暗号資産が一気に普及したことで、これに関連した節税商品も登場しています。

その代表的な存在が、いわゆる「マイニング機器」です。

「マイニング機器」と聞いても頭の中に「???」が浮かぶ方がほとんどだと思いますが、要は「マイニング」を行う「マシン=パソコン」のこと。

なぜこれによって節税ができるのでしょうか。また、どの程度の節税効果が期待できるのか。そして、どのようなリスクを織り込んでおくべきなのか、検証していきましょう。

マイニングは「採掘」とも呼ばれ、詳しい仕組みの解説は避けますが、暗号資産の取引に欠かせない解析処理を行うことです。これには膨大かつ複雑な計算が必要なため、報酬として暗号資産が得られる仕組みとなっています。具体的には、マシン(パソコン)を用意し、そのマシンでマイニング専用のソフトを稼働させます。

マイニングは、暗号資産を使った錬金術ともいえますが、決して簡単ではありません。

専門知識が必要なのはもちろん、高性能なマシンを用意し、安定稼働のため適切なメンテナンスをすることが不可欠だからです。

また、かなりの電気代がかかるのも問題です。

イギリスのケンブリッジ大学によれば、世界の総電力消費量の0.25%がビットコインのマイニングに使用されているとのこと。これは、スイス1国よりも多い電力消費量です。ちなみにスイスの人口は857万人で、日本だと大阪府の人口と同程度です。

こうした事情があることから、現在では、自分で一から十までマイニングをするのではなく、マイニング用のマシンを購入、それを専門の業者に貸し出し、「レンタル代」の支払いを受ける方法が一般的。

マシンの購入価格は1台あたり10万円程度なので、「少額減価償却資産として即時償却することができる」と言われています。

つまり、初年度にマシン購入額分をすべて経費にすることが可能です。突発的な案件の受注などで想定外の利益が出てしまったときでも、その額を圧縮できますので必然的に節税につながるというわけです。

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暗号資産の価値下落で、十分なリターンが得られないリスクも

「業者を介するとそれなりのコストがかかって節税にならないのでは?」と思うかもしれませんが、意外とそうでもありません。専門の業者は、電気代や地代の安い海外でマシンを運用するため、基本的にランニングコストは専門業者が負担することが多いようです。

もちろん、相応のリスクはあります。マイニング対象の暗号資産の価値が下がってしまえば、得られる報酬が少なくなります。コロナ禍の影響で暗号資産の価格が乱高下していることも踏まえると、リターンを期待した投資はハイリスクでしょう。

また、専門業者自体がリスクとなる可能性も十分にあります。倒産や資金の持ち逃げ、詐欺まがいの事件もいくつか発生していますので、資金を託すことのできる業者なのか、契約内容を含めてしっかり確認することは必須です。

最近は、ファンドを組成して大規模なマイニングファームを展開する業者も出てきています。そのすべてが信用できないというつもりはありませんが、大掛かりな計画の背景には、必ずその業者の思惑が隠れているものです。

マイニング投資をした時点で節税という目的は達せられるわけですから、リターンの高さに惑わされず、「軽度なストック型ビジネスに参入した」程度に考え、過度な期待をしないことが重要ではないでしょうか。

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