コロナ禍以前から国が推進! いま「自転車通勤」が注目される理由

ライター 高橋 秀和

2020/07/01

コロナで普及したのは、テレワークばかりじゃない!

新型コロナウイルスの感染拡大は、結果的に「働き方」を大きく変えている。

かけ声ばかりが轟き遅々として進まなかったテレワークも、一挙に浸透。経団連は、会員企業の97.8%が実施しているとの調査結果を発表した。「ほんの一部の実施」も含まれている数字だけに、実態はまだ半数程度のようだが、少なくとも「働き方の選択肢」に在宅勤務やテレワークがあるということはようやく定着したといえよう。

テレワーク以外では、「自転車通勤」が少しずつ広がりつつあるようだ。

日本全国に緊急事態宣言が出されている中でも、各種手続きで人の出入りがどうしても多くなる市役所がいち早く動いている。たとえば東京の町田市は、公共交通機関を使っている職員を対象に自転車への通勤手段変更を認め、臨時の自転車置場も確保した。

民間企業にもこの動きは広がっているようで、自転車販売のあさひは3月の既存店売上高を大幅に伸ばしている(前年同月比で19%増、客数は11%増)。通勤電車を避けたい人の需要が伸びるとの思惑が広がり、株価も急伸した。

 

2017年には自転車活用推進法が施行

こう記すと、一過性のトレンドにも見える「自転車通勤」だが、実はこの数年で自転車を取り巻く状況は大きく変化している。最大の転換点は2017年5月の自転車活用推進法の施行だ。

翌2018年には自転車活用推進計画が閣議決定され、国をあげて自転車通勤が推進されるようになり、2019年5月には「自転車通勤導入に関する手引き」が公表された。

この手引には、自転車の活用を推進する目的として、「環境負荷の低減」「災害時における交通機能の維持」「国民の健康維持増進」「渋滞緩和」「交通費削減」が挙げられている。

さらに興味深いのが、労働生産性の向上やメンタルケアにつながるというエビデンスまで掲載されている点だ。実際、適度な運動をほぼ毎日できることは間違いないし、新型コロナウイルスの感染リスクがなかったとしても、満員電車に揺られるより気分がいいだろう。

もちろん、自転車通勤を導入するにはある程度の投資も必要だ。

自転車置き場だけでなく、ロッカーやシャワーなどの設備を整えるなどの配慮も求められる。そうした負担に応えるため、国土交通省は今年4月に「自転車通勤推進企業」の認証制度をスタートさせている。

多様な通勤手段を認めて従業員満足度をアップさせることができるうえに、ほぼノーコストで健康経営への取り組みを大きくアピールできるチャンスなので、興味のある企業はチャレンジしてみてはどうだろうか。

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