中小企業が考えるべきコロナショックの「出口戦略」

日沖コンサルティング事務所代表
経営コンサルタント 
日沖 健

2020/05/25

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の緊急事態宣言が解除・緩和され、事業を正常化する「出口戦略」が課題になっています。中小企業が「出口戦略」を進める上での5つのポイントを紹介しましょう。

① ビジョンを明示する
今は火災が起きたビルから出口を目指す状況です。しかし、出口の先、どこを目指して進むかというビジョン(到達したい姿)がないと、従業員・顧客・仕入先・金融機関といった関係者から協力を得ることはできません。
各社でコロナの影響や経営状態が異なります。縮小均衡を目指す、コロナ前の状態に戻す、事業を拡張する、業種・業態転換する、という方向性、ビジョンを設定し、関係者に明示することが期待されます。

② 取引先の状況・対応を確認する
顧客・仕入先・金融機関など取引先もコロナの影響を受け、対応を進めています。自社の意向だけでなく、取引先の事情も踏まえることが大切です。取引先の状況・対応を確認した上で、①を具体化します。
たとえば顧客が外部訪問者との面会を禁じているなら、訪問営業からWeb営業に切り替えます。仕入先が顧客減少で困っているなら、ネットワークを紹介してあげると仕入先との関係が強化されることでしょう。

③ 与信管理と銀行取引を見直す
取引先との関係で注意したいのが、与信管理です。コロナの影響で経営状態が悪化し、信用度が低下している企業が増えています。既存取引先と取引を再開、新規取引先と取引を開始する際には、平時よりも慎重に信用状態のチェックを行った方が無難です。
また中小企業が取引する地域の金融機関は、人口減少や低金利で元々経営が厳しいところへ、今回のコロナ対策の緊急融資が不良債権化し、経営が行き詰まる危険性が高まっています。取引銀行を増やすなどリスク分散を進めたいところです。

④ 業務を見直す
社内では、コロナ対策として在宅勤務、Web会議、決裁の簡素化などに取り組んできました。出口を迎えるに当たり、ここまでの対策を振り返り、事業の正常化とともに廃止するものと継続するものを仕分けします。せっかくなので、単純に元通りにするのではなく、効果があった対策は継続し、ゼロベースで業務を見直したいものです。

⑤ モチベーションを維持・向上させる
危機の最悪期が過ぎ、従業員は希望を持って会社勤務に復帰しているでしょう。ただ、長期の自粛生活や慣れない在宅勤務で精神的に疲弊し、モチベーションの低下が心配です。また、賃下げなど将来の不安もあります。従業員との対話を増やすとともに、カイゼンや新サービス創造といった前向きな気持ちになれる活動を増やし、モチベーションを維持・向上させましょう。

コロナは「戦後最大の危機」と言われますが、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災と、近年、数年おきに危機が訪れています。危機を特別なことと考えるのではなく、次の危機(首都直下型地震など)がいつ起きても大丈夫なように備える必要があります。

「ピンチはチャンス」と言われます。普段はなかなか事業を変えられませんが、こういう非常時には思い切って改革に取り組むことができます。5つの点に留意し、チャンスを捉えて、強靭な企業に生まれ変わりたいものです。

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