コロナ第一波からの学びと次波への備え<第2回>

日沖コンサルティング事務所代表
経営コンサルタント 
日沖 健

2020/07/10

2月から続いたコロナ感染拡大の第一波が終わり、いま企業は段階的に事業活動の正常化を進めています。ここで大切なのは、「どこまで元に戻すか」ではなく、第一波への対応から学び、第二波・第三波を想定し、長期的に持続・発展可能な事業活動を「新たに創り出す」ことでしょう。
そこで、本記事では新たな事業活動を創り出すポイントを3回にわたって紹介します。

第1回 オペレーションの見直し(2020/7/3)
第2回 事業の構造改革(本記事)

第2回 事業の構造改革

2回目は、事業の構造改革です。コロナを封じ込めるには、3~5月のように事業活動を停止するのが一番ですが、これを長期にわたって続けるわけにはいきません。今後企業はリスクを回避するよりも、リスクを分散することを中心に事業の構造改革を進める必要があります。

第二波や首都直下型地震といった巨大リスクに備えて、以下の4つの分散を検討します。
① 顧客・販売チャネル
中国からのインバウンド需要に頼り切っていた観光地が壊滅的な影響を受けたように、顧客が偏っていると事業リスクが高まります。また、訪問営業の禁止で売上減少に見舞われるというケースもありました。顧客層を広げたり、インターネット販売を取り入れるなどして、顧客と販売チャネルの分散を進めます。

② 経営資源の調達
一部のメーカーや商社で2月以降、海外から材料・部品・商品の輸入が途絶えるという事態が発生しました。材料などの調達を国・供給業者の両面で分散したいところです。
同じように、資金の調達先=取引銀行を増やす、多様な学校・地域から従業員を採用するといった他の経営資源の分散も考えます。

③ 事業拠点・事業地域
今回、各国の出入国制限で、多くの企業で海外現地法人が機能停止に陥りました。通勤・出張など移動のリスクも問題です。首都直下型地震も考慮すると、日本・東京をメインに事業活動をすることのリスクを考え、対策を進める必要があります。

④ 事業、製品・サービス
今回、飲食・宿泊といった単一の事業を展開している企業や単一の製品・サービスを提供している企業が、大きな損害を受けました。本業・メイン製品に加えて、景気など環境変化に左右されにくいサブの事業・製品を長期的に育成したいところです。

また④と関連して、リスク分散による「守り」から一歩進んで考えたいのが、機会を捉えた「攻め」の事業展開です。コロナによって社会・経済の仕組み、人々の暮らし、企業活動などが大きく変わり、様々な事業機会が広がっています。

ポイントは、社会と人の「困りごと」をどう捉えていくか。たとえばインターネット広告を展開するサイバーエージェントは、4月以降、以下の新規事業(子会社)を立ち上げました。

① MG-DX:コロナでオンラインによる診療や服薬指導のニーズが高まっていることに対応し、ドラッグストアのデジタル化対応やオンライン服薬指導の体制作りを支援する。
② OEN:コロナでコンサートなどリアルイベントの中止で打撃を受けているエンターテインメント産業を支援する。

何もしない(=行政の支援に頼る)、事業リスクの分散に取り組む、機会を捉えた新しい事業展開に取り組む。経営者の判断次第で、企業の盛衰が大きく違ってくるでしょう。

*次回は、7月17日(金)に更新を予定しております。

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